家族が納得できる遺言書を作成するには?
遺留分に配慮した内容にすることをお勧めします
「遺留分」とは、一定の法定相続人に認められた相続財産に対する持分的利益のことです。具体的には、法定相続分の半分(直系尊属のみが相続人の時は3分の1)が遺留分にあたります(民法1028条)。
たとえば、遺留分を侵害する内容の遺言(例:全財産を〇〇に譲る)を遺したとしても、遺留分を有する法定相続人が、遺留分に相当する相続財産の返還を求めた場合は、その遺言は遺留分の限度で効力を失うことになります(民法1031条)。
遺留分権利者にとって、遺留分はいわば「最低限保障された権利」といえます。
そのため、「全財産を〇〇に譲る」など遺留分を無視した遺言書を作成するのではなく、「〇〇(=遺留分に相当する財産)を相続させる」といった遺留分に配慮した内容にすることで、必要以上のトラブルを避けることができます。
なお、遺留分については、本件HP「法定相続人/法定相続分/遺留分」をご参照ください。
「次の相続」も考慮した内容にすることをお勧めします
たとえば、父・母・子供2人(長男・次男)という御家庭で、父が亡くなった場合、法定相続人は母と長男・次男で、それぞれの法定相続分は、母:長男:次男=1/2:1/4:1/4となります。
では、この後、母が亡くなった「次の相続」の時の法定相続分は、どうなるでしょうか。
この時、長男と次男がともに母の子であれば、それぞれ1/2ずつ母を相続することになります。
しかし、仮に長男は父の先妻の子、次男は後妻(=今回亡くなった母)の子であった場合、長男は母を相続できません。すなわち、次男のみが母を相続することになります。この場合、結果的に、長男は父の財産を1/4しか相続できないのに対して、次男は母からの相続分も含めて父の財産の3/4を相続することになり、長男が不満を抱く恐れがあります。
そのため、遺言書を作成するときには「次の相続」がどうなるのかを踏まえて検討する必要があります。
なお、次の相続がどうなるかについては、本件HP「法定相続人/法定相続分/遺留分」もご参照ください。
「付言」を丁寧に書くことをお勧めします
遺言書には、法律で定められた遺言事項の他に、それ以外の事項(付言)を書くことも認められています。
付言には、法律的な効力は認められていませんが、遺言者の最後の意思として真摯に扱われることが期待できます。
そこで、「どのように考えて、この遺言書の内容に至ったのか」を丁寧に書くことで、遺族の方に納得していただくことが期待できます。
なお、法定の遺言事項および付言事項については、本件HP「遺言事項」をご参照ください。
参照記事
◆遺言書に関する疑問は「遺言書Q&A」をご覧ください。
◆相続に関する疑問は「相続Q&A」をご覧ください。
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