【10】兄弟姉妹のいる夫婦の遺言書作成のポイント
法定相続人
結婚している方で、子供も孫もなく、親も祖父母もすでに他界しているものの、兄弟姉妹がいる方が亡くなった場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。このとき、甥・姪は相続人となりません。
なお、たとえ生存配偶者との間の子供でなくても、故人の子供がいる場合(例:前妻の子、内縁の妻との間に生まれた子など)は、「子供のいない場合」にあたらないため、【10】のケースではなく、【2】のケース(子供のいる夫婦の遺言書作成のポイント)になります。
法定相続分
配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1の割合で相続します。なお、兄弟姉妹が複数いた場合、原則として兄弟姉妹の人数に応じて頭割りとなりますが、故人と父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹と父母の双方を同じくする兄弟姉妹が混在する場合、前者(父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹)は後者(父母の双方を同じくする兄弟姉妹)の相続分の2分の1となります。
(例)故人が妻と兄・弟を遺して亡くなる。兄は故人の父の前妻の子(故人と父のみを同じくする兄弟)であるのに対し、弟は故人と父母を同じくする兄弟である。この場合、各人の法定相続分は以下の通り。
妻:4分の3
兄:12分の1=兄弟姉妹全体の相続分1/4を弟の半分の割合1/3で相続
弟:6分の1=兄弟姉妹全体の相続分1/4を兄の2倍の割合2/3で相続
遺留分
配偶者の遺留分は2分の1となります。兄弟姉妹に遺留分はありません。
遺言書作成のポイント
・兄弟姉妹には遺留分はありません。そのため、遺言書で全ての相続財産の処分を定めておけば、兄弟姉妹より遺留分減殺請求権を行使されることはありません。
・子供のいない夫婦の場合、故人の兄弟姉妹(配偶者にとって義理の兄弟姉妹)も法定相続人となります。故人にとっては血を分けた兄弟であっても、配偶者にとっては必ずしも親しい間柄とは限りません。故人を喪った深い喪失感の中で行う遺産分割協議は多大な労力を要します。遺された配偶者のためにも、遺言書の作成をお勧めします。
・故人名義の不動産に配偶者も同居していたような場合、故人が亡くなった後も配偶者がそのまま生活できるようにするためには、当該不動産を配偶者に相続させるなどを遺言書に定めておく必要があります。
・故人がお墓の管理をするなどいわゆる祭祀主催者であった場合、故人亡き後、誰がお墓を管理していくのかを巡り、親族間で話がまとまらないことも少なくありません。このような恐れがある場合、あらかじめ遺言で祭祀主催者を指定しておくことをお勧めします。
参照記事
◆遺言書の書き方の見本については、「遺言書の書き方」をご参照ください。
◆全般的な遺言書の作成のポイントについては、「遺言書作成のポイント【総論】」をご参照ください。
◆ケース別の遺言書作成のポイントについては、「遺言書作成のポイント【ケース別】」をご参照ください。
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