相続人のいない相続財産はどうなるの?
相続財産は法人となり、相続財産管理人のもと、相続債権者及び受遺者に弁済されます
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人となります(民法951条)。
この場合、家庭裁判所は相続財産の管理人を選任し(民法952条1項)、相続財産管理人専任の①公告を行います(同条2項)。
この公告によっても、2か月以内に相続人のあることが明らかにならなかった場合、相続財産管理人は、全ての相続債権者及び受遺者(=遺言によって財産を譲り受ける者)に対して、一定の期間(2か月以上の期間)内にその請求を申し出るように②公告をします(民法957条1項)。
この期間満了後も、なお相続人のあることが明らかでない場合、家庭裁判所は、相続人がいるならば一定の期間(6か月以上の期間)内に、その権利を主張するように求める③公告を行います(民法958条)。
3度目の広告の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができなくなります(民法958条の2)。
故人と特別の縁故があった者がいれば、相続財産の全部または一部を与えることができます
清算後の相続財産について、故人と生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者、その他特別の縁故があった者がいれば、家庭裁判所は、相当と認める場合に、その者の請求により、清算後の相続財産の全部または一部を与えることができます(民法958条の3)。
特別縁故者には、内縁の夫婦、事実上の養親子、未認知の子などが対象となります。
これらによっても処分されなかった相続財産は、国庫に帰属します(民法959条)
なお、特別縁故者への相続財産の分与は、相続人がいない場合に限り認められています。また、相続財産の分与が認められるにあたっても、3度の公告と家庭裁判所への請求という手続きが必要となるうえ、家庭裁判所が分与を「相当」と認めるか否かも定かではありません。
もしも、「特別縁故者」にあたりうる方へ、何らかの財産を遺すお考えをお持ちであれば、ぜひ遺言書の作成をご検討下さい。
【参照】遺言書の書き方
参照記事
遺言書に関する疑問は「遺言書Q&A」をご覧ください。
相続に関する疑問は「相続Q&A」をご覧ください。
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