相続財産がマイナスの場合、どうすればよい?
相続開始後3か月以内であれば、相続を放棄できます
相続人は、相続により、故人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条本文)。そのため、相続財産がトータルでマイナスの場合(プラス財産よりもマイナス財産が多い場合)、そのまま相続してしまうと、故人の負債についても、相続人自身の財産によって弁済する責任を負うことになります(民法920条)。
そこで、このような場合、相続を放棄することが考えられます。相続を放棄した者は、初めから相続人とならなかったものとみなされる(民法939条)ため、故人の負債について責任を問われることはありません。
相続放棄の効果
相続を放棄した者は、初めから相続人とならなかったものとみなされるため、相続財産の中にあるプラス財産についても引き継ぐことはできません。そのため、相続財産はトータルでマイナスになるものの、相続財産の中に「家宝」のようなどうしても守らないといけない財産が含まれている場合には、限定承認を検討することをお勧めします。
また、欠格や廃除と異なり、相続放棄をした者の子は、相続放棄した者を代襲相続することはできません。
他の相続人に与える影響
相続放棄は、限定承認のように相続人が全員一致して行わなければならないものではありません。そのため、個々の相続人毎に相続放棄することができます。
相続放棄をした者は初めから相続人とならなかったものとみなされるため、残りの相続人が単純承認することも、残りの相続人が一致して限定承認することもできます。
先順位の相続人(例:子)が全員相続放棄したような場合、次の順位の相続人(例:父母)が相続人となります。この場合、次順位の相続人も、相続放棄をすることで最初から相続人にならなかったものとみなされますが、そのためには定められた期間内に手続きを行う必要があります。そのため、先順位で相続放棄をする方は、次順位の方に相続放棄をした旨を伝えておくとよいでしょう。
相続放棄の申述
相続放棄を行うためには、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ってから3か月以内(熟慮期間)に、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ相続放棄を申述する必要があります(民法915条1項、938条)。ただし、3か月の熟慮期間は、家庭裁判所の審判により延長することができます。
申述人 | 相続人 |
---|---|
申述期間 | 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内 ただし、家庭裁判所の審判により延長可 |
申述先 | 故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
必要書類 |
・相続放棄申述書 |
申述費用 |
・申述人1人につき収入印紙800円 |
参照記事
遺言書に関する疑問は「遺言書Q&A」をご覧ください。
相続に関する疑問は「相続Q&A」をご覧ください。
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