遺言事項
さきほど遺言書の作成を「相続財産というケーキの切り分け」に例えて説明しました。
多くの方は「トッピングのイチゴは可愛い娘に」「お菓子の家は同居する長男に」というイメージを思い描かれたことと思います。
しかし、この表現はやや不正確なところがあります。
たとえば、遺言書のおいては、「自宅の土地・建物を同居する長男に相続させる」といった定め方だけではなく、「長男に3分の2、妻と次男にそれぞれ6分の1ずつ相続させる」といった相続分を指定する定め方もできます。
また、「誰が何を相続するか」や「誰がどの割合で相続するか」といった内容を「第三者に委ねる」こと、さらには5年以内に限られますが「遺産の分割を禁止する」といった定めも可能です。
そのほか、子の認知といった身分上の行為も遺言によることが認められています。
このように遺言には大変強い効果が認められているため、遺言できる内容(遺言事項)も法律で定められています。主な遺言事項は以下の通りです。
①特定の相続人に特定の相続財産を相続させる
(例)同居する次女に自宅の土地・建物を相続させる
②相続分を指定する
(例)長男は3分の2、妻と次男は各6分の1の持分割合で相続させる
③相続権のない人に相続財産を引き継がせる
(例)お世話になった長男の嫁に預貯金を遺す
(例)同居する内縁の妻にマンションを遺す
④遺産分割の禁止
(例)妻の居住する自宅について遺産の分割を禁止する
⑤相続分/遺産分割方法の指定を委託する
(例)相続人全員の相続分を指定することを委託する
(例)遺言者の遺産の分割の方法を指定する
⑥相続人の廃除
(例)虐待をした長男を相続人から廃除する
⑦子を認知する
(例)内縁の妻との間に生まれた子供を認知する
⑧祭祀主催者を指定する
(例)都会に出た長男ではなく、地元に残った次男に墓を引き継いでもらう
ご希望をかなえるために、「どのような文言で遺言書を作成すればよいか」といった点については、当事務所や各専門家へご相談ください。
付言事項
遺言事項以外の内容を遺言に記載しても法的効果は認められておりません。ただし、法的効力のない「付言事項」として遺言書に記すことはできます。
遺されるご家族のことを考えて作成された遺言書でも、遺言事項だけでは「真意」が正確に伝わらない恐れもあります。
とりわけ法定相続分から目減りしてしまう相続人にしてみれば、疑念を抱いてしまうかもしれません。
これでは、せっかく作った遺言書が、かえってトラブルのもとにもなりかねません。
そうならないように、付言事項を活用して、「なぜこのような遺言にしようと思ったのか」を伝えてあげてください。
主な付言事項は以下の通りです。
・相続分の指定および遺産分割方法の指定に関する説明(なぜ、このように分けようと思ったのか、など)
・残される配偶者の介護や扶養の方法に関するもの
・「家族協力して仲良くすること」などの遺訓
・葬儀・法事の方法に関するもの
参照記事
◆遺言書に関する疑問は「遺言書Q&A」をご覧ください。
◆相続に関する疑問は「相続Q&A」をご覧ください。
◆遺言書の添削・作成支援を30,000円(税抜)~お受けしております。
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