遺言書の検認
さて、あなたは遺言書を作成されたとします。
※遺言書の作成方法についてはこちらをご参照ください。
何時になるかは分かりませんが、いずれあなたも亡くなる時がやってきます。
そう、相続の開始です。
「ケーキの切り分け」の例えで考えると、いよいよ切り分ける段階を迎えるのですが、公正証書遺言以外の遺言の場合、「ケーキの切り分け」に入る前に、家庭裁判所で「遺言書の検認」という手続きを行わなければなりません。
自筆証書遺言も、「公正証書遺言以外の遺言」にあたるため、遺言書の検認を行う必要があります。
この「遺言書の検認」とは、法定相続人に対して遺言の存在とその内容を知らせるとともに、検認の日現在における遺言書の内容を明らかにして、遺言書の偽造及び変造を防止するための手続きのことです。
検認の手続きが終了すると、遺言書に検認済み証明書を添付したものが交付されます。
公正証書遺言以外の遺言によって相続手続きを行うには、この検認済み証明書が添付された遺言書が必要になるため、「ケーキを切り分ける」前に検認を経ておく必要があります。
検認申立ての手続き
検認の申立ては、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人が、遺言者の最期の住所地の家庭裁判所へ行います。
必要なものは以下の通りです。
①遺言書の検認申立書(記載例はこちら)
②遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)、
③相続人全員の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
④収入印紙800円分
⑤連絡用の郵便切手
なお、遺言書は検認期日に持参しますので、申立て段階で添付する必要ありません。
検認の流れ
申立て~検認期日まで
検認申立てをしてから1~2週間経つと、家庭裁判所から相続人全員に対して、検認の日時・場所を記した「検認のお知らせ」が郵送されます。
検認期日は、通知からおよそ1か月~1か月半程度先の期日が指定されます。
そのため、申立てから検認まで、およそ1か月半~2か月程度の日数を要することになります。
検認期日
遺言書は、検認期日に持参します。
封印された遺言書は、検認手続きの中で開封します。これ以前に開封した場合、過料(一種の罰金)に処せられる可能性がありますが遺言書自体が無効になるわけではありません。
特に問題がなければ、15分~30分ほどで終わります。
なお、相続人全員に「検認のお知らせ」が郵送されますが、これは遺言書を見て内容を確認する機会を保障するためのものであり、通知を受けた相続人全員が裁判所に行かなければならない、というものではありません。
検認に立ち会わなかった申立人、相続人などの利害関係人に対しては、裁判所書記官から「検認がなされた」旨の通知がなされます。
公正証書遺言の場合
以上が検認の手続きとなりますが、ご覧いただいてお分かりの通り、かなり手続きが煩雑ですよね。
また、実際に「ケーキを切り分ける」ことができるのが2か月後というのも、気がかりなところです。
このデメリットを補う方法が、「公正証書遺言」の作成です。
公正証書遺言は検認を経る必要がないため、検認申立て手続きの事務的負担と、検認期日までの時間を省略できるメリットがあります。
いわば、「直ちにケーキを切り分ける」ことができる遺言といえます。
「葬儀や法事で大変なだろうから、なるべく相続手続きの負担を減らしてあげたい」「2か月近くも店晒しにできない」とお感じになられた方は、ぜひ公正証書遺言の活用をお勧めいたします。
参照記事
◆遺言書に関する疑問は「遺言書Q&A」をご覧ください。
◆相続に関する疑問は「相続Q&A」をご覧ください。
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